森林との共生

駒ヶ根ガーデンファーム構想への提言―その5
2001年11月16日、その後加筆
小 原 茂 幸

地球環境における森林の役割が大きく見直されてきています。
漁師が川の上流に植林に来る時代です。
日本の国土に占める森林面積は約7割。
先進国では屈指の広さです。

しかし、戦後植林された杉・カラマツ等の単一林の占める割合はかなり高く、
人件費の上昇に伴い、手が入らないままになっています。
特に長野県は戦中戦後の日本の発展のために山の木を供出し、
結果として、かなりの山奥まで唐松を植林してきました。
単一林は下草や薮を排除し、昆虫や鳥・獣の生息を妨げ、
森の生態系に大きな影響を与えています。
花が咲き、実のなる下草や藪が無くなれば、昆虫が生息できません。
昆虫が居なければ鳥はやってきません。
鳥がこなくなれば、下草も生えなくなります。
近年、いのししや猿、野うさぎや狸が里に下りてくるのは、
山は緑で覆われていても、食べ物が無い状態なのかもしれません。

また、植林された木と、
複合林の中に実生で育った木との違いも再確認されてきました。
やはり実生で育った木は成長はゆっくりかもしれないけれど、
大風や水害には強いのです。
直根がしっかりと大地に根ざしているのです。
植林した木は、根がよじれています。
混合林の中で育った天然の針葉樹。
これに勝るものはないと思います。
森林は本来、様々な生物が多様性をもって活動する場なのです。
生物の多様性が、結果として人類を救うのかもしれません。
効率ばかりを追う時代は去ろうとしています。
ましてや林業は親が植えて孫の代に成果を見る産業です。
費用対効果などという四半期、半期、一年決算では計れない産業です。

美しい景観と、国土保全のために、
さらには地球温暖化防止のためにも、
外材に頼る時代では無くなりつつあります。
今のままでは、
ご先祖様たちが営々として築きあげてきた山の価値が失われてしまいます。
家を建てるにも、同じその風土で育った木材を使うのが最良だといわれます。
地元産木材の住宅資材、エクステリア資材への活用促進、
間伐材の薪ストーブ等への利用(ペレットの流用)と共に、
この森林資源を再活用するシステムを再構築したいと考えます。

循環型社会における人間と森との関係を再認識し、
さらに森林の微生物によって育てられた「土」、
あるいは「炭と灰汁」の効用を図り、安全な「食」に寄与したい。
他方では、池山、高烏谷山などへの
トレッキング等を通じて自然に親しむ健康増進と、
四季折々の山の景観、森林浴、山菜取り(山の幸)等を通じての
「癒しの森」構想を進めたいと考えます。
ガーデンファーム。
農業の基本は土作りから始まります。
森林が育んだ有機肥料を大いに活用したいものです。







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